英語の道からギリシャ文学の道へ ~多くの人にギリシャ文学の魅力を知ってほしい~ ◇末國久仁子さん /くーちゃん◇

 

大学で英語とギリシャ文学の授業を担当

 

さぬきち:今日は手帳學受講生のくーちゃんにインタビューさせていただきたいと思います。くーちゃん、よろしくお願いします。

 

くーちゃん:よろしくお願いします。

 

さぬきち:今日、くーちゃんとは今日初めましてなんですけど、お話させてもらってすごく優しい方だなって印象があります。まず簡単にくーちゃんのお名前とニックネーム、お住まいを教えていただいてよろしいですか?

 

くーちゃん:末國久仁子(すえくにくにこ)です。くにくにしてて、柔らかそうな名前でしょ?(笑)その前は岩男(いわお)だったんだけど、結婚してこうなったの。それでニックネームはくーちゃんなんです。

 

さぬきち:なるほど。今はどういったお仕事をされていますか?

 

くーちゃん:大学で非常勤講師をしています。一番多くクラスを持っているのは英語の科目で、TOEICの勉強を「やりなさ~い!」みたいな感じで教えています。あともう一つは、自分の専門のギリシャ文学を教えています。

 

さぬきち:それなら、文学部とかでしょうか?

 

くーちゃん:そうです。でも文学部だけでなく他の学部の学生たちもいますね。一般教養の科目なので、100人を超える人数の大教室で一斉にやる感じです。英語に関しては1クラス20から30人ほどかな。専門で勉強している学生さんは、やっぱり専門家の先生が教えられます。非常勤講師が担当する科目は、単に単位を取らなきゃいけないっていう人たちばかりです。ギリシャ文学も一般教養ですね。ギリシャ文学のほうは三校教えに行っている大学のうち一校だけです。

 

大学の先生の影響でギリシャ文学の道へ

 

さぬきち:くーちゃんは、語学とか文学に興味があるんですか?

 

くーちゃん:そうですね。元々は英語を勉強したくて大学に入ったんですが、もともと北欧神話とか、昔から伝わっているお話が好きだったんです。でも、英語の勉強だけでは物足りなくなってきたのもあるし、大学院で指導していただいた先生がギリシャ哲学の先生だったので、「こんなんあるよ」ってどんどん渡されていくうちに、興味がギリシャのほうにズレて行ったんですよね(笑)そこで「面白そうだな」と思ってから、そのまま今に至ります。

 

さぬきち:ギリシャって神話のイメージがあるんですが、合ってますかね?

 

くーちゃん:そうですね。ギリシャは神話も哲学も入ってるし、伝承文学、英雄伝説、昔話とか、そういうお話ですね。私がメインにやってるのが、原典が古代ギリシャ語で書かれた「イソップ寓話」です。『北風と太陽』、『うさぎとかめ』、『旅人のコートを脱がす話』とか『油断大敵』っていう有名なお話を作ったとされるのがイソップおじさんなんですけど、その『イソップおじさんの生涯の物語』っていう、ながーいお話があるんですよ。でも、生涯の物語はあんまり現代にまで伝わって来てないんですよね。そちらのほうを主に読んでます。楽しいって言ってくれる子も、たまにはいます(笑)

 

本講座を受けて、自分のルーツを再確認できた

 

さぬきち:手帳學とは、元々どのようにして出会ったんですか?

 

くーちゃん:インターネットの広告を見てたら手帳學の広告がパッと出てきて「なんやこれ。『手帳學』って名前なんだから、スケジュール管理とかが上手になる講座なのかな?それに手帳學だから、学問なのかな?」って思いました。

 

さぬきち:なるほど。実際に受講してみてどうでしたか?

 

くーちゃん:「思っていたのと違うな」と思いました(笑)だけども、単にスケジュールを管理するんじゃなくて、自分を中心に考えなきゃいけないのねってことが分かって「何かいいな」と思いました。もしかしたら、これに取り組んだらこれからの自分のプラスになるんじゃないかって思って、それを期待して受けてみようかなと思いました。

 

さぬきち:手帳學に出会う前は、くーちゃんはどういう状況だったんですか?

 

くーちゃん:目の前にある、やらなきゃいけないことに追われてました。自分を俯瞰して見てるって感じでしたね。今は大学の職に就く前にも小・中・高の教員は全部経験したんですけど、今は大学にいてそれなりに忙しくしていたんです。そもそも小・中・高に教えに行ってる間に同時並行で大学院で勉強し直していて、大学院のときには時間があったから、こういうことしたいな、ああいうことしたいなってことを勉強していたんですが、いざ大学院が終わって非常勤講師になったら、一日一日を終えるだけど、やるべきことが見えてなかったんですね。なので、自分でやろうと思うことをハッキリさせたいし、大学院のときのように自分のお仕事を進めたいなと思ったんです。それが手帳學を受講しようと思ったきっかけですね。

 

さぬきち:本講座に進んでみてどうでしたか?

 

くーちゃん:うーん、濃かったですね。しんどいなって思った。ここまで濃厚な2日間って久しぶりでしたね。ここまで自分を振り返ることはしたことがなかったです。「私、こんなことを考えてたんだな」ってことがいくつも出てきました。自分の生い立ちとか振り返って行くから、「そういえばあのとき、こんなこと考えてたかしら」ってことも思い出した…というか思い出されたという感じでしたね。今の自分のルーツを再確認した感じです。

 

自分が考えていることの『確認』ができた

 

さぬきち:実際に手帳學を受けられてから、今ってどれくらいになるんですか?

 

くーちゃん:もうちょっとで半年くらいで、その前に体験講座を受けました。緊急事態宣言になる前だから、体験講座から1年以上経ってから本講座を受けたことになります。手帳學に触れてからは1年半くらいかな。

 

さぬきち:本講座を受けてから、自分の中で変化があったことはありますか?

 

くーちゃん:変化と言うか「確認」ができたかな。「私ってこういうことを思ってたんだ」っていうことがちゃんと文章化できて、クリアにイメージできるようになりました。「すごい頑固だ」って言われていたこともあって、自分ではあまり自覚は無かったんですけど、やっぱりそうやったんやなって思いました。

 

同期と定期的に連絡を取り合えることが嬉しくて、楽しい

 

さぬきち:手帳學のコミュニティにも参加されていますか?また「ここが良いな」と思うところはありますか?

 

くーちゃん:それほど積極的に触れてるわけではないんだけど、時間が足りないっていう感じですね。今日もセミナーがあるんやとかって思っていても、気づいたら「あ、終わってた」ってことはよくあります。また、愛編を一緒に受けた人たちとひと月に一回ずつ報告回みたいに集まってるんですけど、それには参加できています。当然同じメンバーで話をするんですけど、代わり映えのしないメンバーでも「元気そうやな」って思ったり、ひと月の間にこういうことあったよって言ったら「へぇ~」って聞いてくれるので、嬉しいなと思います。いろんなことを教えてもらったり、「え、そんなのあるの?」って発見があったり、こっちで検索して違うものが見つかると「こんなのもあるけど読んだ?」って教えてもらったりとか、いろいろ楽しいです。

 

さぬきち:そういう友だちに近況報告ができる場があるっていうのが、良いなと思うところなんですね。ありがとうございます。

 

ギリシャ文学をもっと探求したい

 

さぬきち:くーちゃんがこれからご自身でやっていきたいこととか、こういうなったらいいなっていうイメージなどはありますか?

 

くーちゃん:今教えているギリシャの文学をもっと探求したいです。非常勤だと英語の先生って感じになってしまうけど、ギリシャの文学をメインにしていきたいですね。

 

さぬきち:そのためにはどういうことが必要になってくるのでしょうか?講師募集の採用情報を見つけないといけないのでしょうか?

 

くーちゃん:そうですね。でも、なかなか正規の職員になるのは難しいんです。

 

大学教員の試験は、採用されるかどうかが元々決まっている?

 

さぬきち:募集の条件とかもあったりするんですか?

 

くーちゃん:そうですね。「えーっ!」と思うような条件もあったりするし。指導を受けた、あるいはそれに近い人の推薦状を付けてくださいとかもあります。その度に「あぁ~、頼まないといけないのか」って思います。私の先生は元気で生きていらして、私のことをすっごくいいように書いてくれるんですよ。でも、結局当てはまらないってことになったら、「せっかく書いてくださったのにすみません」って思います。あとは、非常勤講師で何年以上のキャリアがある人だとか、博士号を持っていることが必須だとかですね。それらの条件が前提で「年齢不問」ということなので、条件をクリアしていると思い書類を出すんですけど、募集要項には書かれていなくても、採用の基準にはやはり年齢などもあるんだろうなと思います。実際は、すでに誰を採用するかは決まっていて、「公に選考しました」っていう事実が必要だから募集要項に出てるだけなんだという話を聞いたことがあります。

 

さぬきち:内容を知ってしまうと、衝撃ですね。

 

くーちゃん:一体、どういう世界なんでしょうね。そういうのを聞くと気が抜けてしまいますけど、今非常勤で行っているところは、そういうことはしないですよって聞いたことはありますけど、実際は分かりませんよね。

 

さぬきち:ギリシャ文学を担当している大学に申し込んで、専任教員になれたらいいですよね。

 

大人こそ、昔話や絵本を読んでみてほしい!

 

さぬきち:もしなれたとしたら、くーちゃんが講義したい内容ってあるんですか?

 

くーちゃん:世界中にいろんな昔話などがあるので、それを紹介したいと思っています。最近は、公共図書館とかで「絵本の読み聞かせ会」などはありますけど、大人になってからまず読まないですよね。「イソップ寓話」とか「日本昔ばなし」とか「読んだことがありません」って言っている学生さんが多いので「大人になってからこそ、読んでみてほしいのにな」って思います。

 

さぬきち:確かに大人になってからは、聞いたことはあるけど、わざわざ本とかで読んだことはないという人も多いでしょうね。

 

くーちゃん:実際に子供向けの絵本とかはたくさんあるんですけど、岩波文庫などには大人用のものもあるんです。でも、全然手に取ってくれないんですよね。「大人にも面白いものはあるのよ、読んだら面白いわよ」って学生に薦めたりしています。

 

さぬきち:僕も日本の昔の歴史や、古事記とか日本書紀を最近勉強しているんです。ギリシャの親和とか物語って聞くと興味はあるなって思うんですけど、本を取ってまで読んだことは無かったですね。

 

くーちゃん:日本とギリシャって共通の考えもあったりして、面白いですよ。

 

くーちゃんお勧めの本は『ESOPO』!

 

さぬきち:そういうものに触れたことがないという人に対して、くーちゃんの「おすすめの一冊」ってありますか?

 

くーちゃん:イソップのお話の本で『ESOPO』というのがありますけど、本当に「絵本」なんですね。「イソップのお人形」がいろいろエピソードの場面で写真、画像になっているんです。お話が挿絵になっているんですね。「ESOPO」は、いわゆる日本語の「イソップ」のことで、つまり『ESOPO』はイソップおじさんの生涯の物語なんです。元々日本で出版されたのが西暦1593年で、江戸時代よりも前のことです。ポルトガル語由来のローマ字で書かれているのを、現代日本語、日本文字で書いてくれてあるので、読みやすいですよ。熊本県の天草市で出版された本です。

 

さぬきち:天草っていうと、天草四郎と関係があるんですかね?

 

くーちゃん:1593年に出版された『ESOPO』の元本の『ESOPO NO FABULAS』は、日本にキリスト教とともに入ってきて、宣教師の人が日本語を勉強するために作られたらしいです。昔の口語訳で書かれてるから「~でおじゃる」とかがローマ字で書かれてるんですよ。私たちが現在使っているローマ字は英語の発音から作られているんですが、ESOPOで書かれているローマ字はポルトガル語由来のアルファベットで書かれてるローマ字表記なので、私たちが普段使っているのとはちょっと違うんですよ。

 

さぬきち:ポルトガル語の宣教師が「おじゃる」とかって言ってるってことですか?昔の日本では、そんな喋り方があったんですね。

 

くーちゃん:そう、それが残ってて結構残ってて面白いですよ。『ESOPO』は、おかしくて不思議な感じの写真が載っていて、面白く作られていますよ。

 

さぬきち:『ESOPO』ですね。機会があったら探してみます。

 

くーちゃん:はい、インターネットで見つかると思いますよ。

 

「心から願えば、現実化する」と自分に言い聞かせたい

 

さぬきち:では最後にくーちゃんがこれから大学の非常勤講師として頑張って行く意気込みをお願いします。

 

くーちゃん:「そうなっている未来を想像すると、それが現実になるよ」という言葉を自分にかけて、その夢に向かって行きたいなと思います。

 

さぬきち:良いですね!それでは今日は手帳學受講生のくーちゃんにインタビューさせていただきました。今日はありがとうございました。

 

くーちゃん:ありがとうございました!

 

 

インタビュアー:さぬきち

カメラマン:ゆっしー

ブログ作成:のりにぃ

 

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